2016年1月4日
ハンガリーでプレーする銘苅淳選手を追ったテレビ番組『ノンフィクションW 孤高の日本人得点王・銘苅淳 ~欧州で拓くハンドボールの未来~』が、1月16日土曜日13時から、WOWOWプライムで放送されます。ぜひご覧ください。
予告編はこちらから。
2015年4月から12月まで、約9ヵ月にわたって銘苅選手に密着したこの番組でナレーションを務め、今や芸能界一の熱血ハンドボーラーと言っても過言ではない俳優の西村和彦さんと、銘苅選手の特別対談の最終回をお届けします。
第1回 「地区大会・全国大会優勝の、その先のビジョンを見せてあげたい」
第2回 「ハンドボールが文化として根づいているヨーロッパ」
やっぱりハンドボールっておもしろい!
(番組スタッフ)「ハンドボールに関係されている方、みなさんハンドボールの未来のことを口々に言うので、すごくスポーツに魅力があるんでしょうね」
西村「中学で例えば野球をやっていて、高校でハンドボールを始める人とかいるじゃないですか。でも、ハンドボールをやっていて、ほかのスポーツにいく人ってあんまりいないですよね?」
銘苅「そうですね。僕もいないと思います」
西村「ハンドボールやっていてバスケットにいく人ってあんまりいない。バスケットをやっていてハンドボールにいく人はいる。ただ、ハンドボールを中・高とやっていて、大学から違うスポーツをやる人はまずいないです。なんでか分かりますか?」(スタッフに向けて)
(番組スタッフ)「どうしてですか?」
西村「おもしろいからですよ」
一同「(笑)」
銘苅「おもしろいからですよ(笑)」
(番組スタッフ)「わかってて聞いちゃいました(笑)」
一同「(笑)」
銘苅「おもしろいからですよ。本当に」
西村「こんなに身体を酷使して、コンタクトもあるし、傷だらけになるけど、やっぱり楽しいですよね」
銘苅「はい、おもしろいです。」
西村「とくに…この年になって気づくのは遅いかもしれないんですけど、僕DFがおもしろいな、と思って」
銘苅「あー、はい」
西村「ほかのスポーツに比べて非常に戦術的であり、攻撃的。で、ボールを持っていない人にもコンタクトしていい。こういうスポーツってあまりないのね」
銘苅「そうですね。おもしろいですね」
西村「もちろんラグビーとかもコンタクトはきついと思うんですけど、基本的にラグビーってボール持ってる人にだけじゃないですか。行けるのは。なおかつコートが広いので、戦術的なDFっていうのが、コンタクトしながらDFっていうのがあり得ない」
銘苅「そうですね」
西村「バスケット、触れちゃいけませんし。サッカーも広いですからコートが。要するに合間を詰めていく、ずらしていく感覚だけであって、つぶすって感覚じゃない」
銘苅「だから今は本当に個人のDFの戦術というか、個人の戦術技術が上がってきて、DFに対するアドバンテージが見られるようになりましたね。ガツンといって捕まえてっていうのもあるんですけど、今は先読みしてポンっていってチャージングを取ったり、DFの中でフェイントかけて戻ったりとかっていうのが…」
西村「基本的に入られてこない限り、挟まれないですよね。それまではずらしてずらして外側でっていう感覚であとは、上から打たせるかっていう形ですもんね」
銘苅「あのへんは見てておもしろいですもんね」
西村「おもしろいです。すっごく見てておもしろいです。ああいうおもしろさを伝えればいいんですけど。解説とか」
銘苅「僕、聞きましたよ。(今年3月の日本リーグ)プレーオフの解説」
西村「恥ずかしいー!(笑)でもこれネットだから聞けるんですよね。ハンガリーでも聞けるってことですよね」
銘苅「僕、ライブで観てました」
西村「うわぁすみません。つたない解説で」
銘苅「いや、おもしろかったなぁと思って」
西村「技術的なところは解説の方に任せて、僕はもう『行け!』とか『そこだ!』とか」
銘苅「いや、でもああいうことをしないと観てくれないと思うんですよ。『解説に西村さんがいます』って言ったら、それだけで観ますもん、人が」
西村「うわぁ、観てもらいたいなぁ。そういうつもりで1回、この間インターネットでやってみたつもりなんですけど、いやぁ難しいです。なぜかというと早いんですよ! サッカーと違うのはそこですね。プレーが止まらない」
銘苅「そうですね」
西村「ハンドボールは展開が早いので、カメラマンが追い付けないくらいですから」
銘苅「でも、あれはよかったです。実況がいて1人、解説が2人いて、っていうスタイルはよかったですよね。ハンドボールってこういう見方をするっていうのが分からないので、中高生も」
西村「なるほどなるほど」
銘苅「観る楽しみの文化としては、どこで盛り上がっていいかっていうのが分かんない。それこそ西村さんが審判に『おい!』って言ったら、そんなこと言っちゃうの? って」
西村「なるほどね。言っちゃってたかもしれないね。『今のは(ファール)とってくれないんですかね?』みたいな」
銘苅「そうそうそう(笑)『今のはちょっと』『おーい!』とか言っただけで、ヨーロッパではみんなそうですから。立ち上がりますよ。それこそ点数とってもそうですし、日本人はおとなしく、『うん…うん…(小さく拍手)』って感じで観るっていう文化っちゃ文化なんですけど。でも、ハンドボールって本当に観てる方も大汗かいて、声出して、っていうくらいおもしろいスポーツ、のめり込むスポーツなので。そういう見方があるんだよって、それは別に恥ずかしくないんだよって。『ハンドボールってこうやって見るんだぜ!』って感じで」
西村「全然恥ずかしくないもんね。テレビでも叫んでるもんね。『おい!』って(笑)」
銘苅「やっぱ大事ですもんね。ああいうのが」
西村「そうですよね。欧米の人とかって叫んでますもんね」
銘苅「はい。『行けー!』とか」
西村「日本はなんなんですかね。スポーツバーじゃなきゃ叫べないんですかね」
銘苅「うーん。お行儀っていう意識が強いんですかね。どちらかというと」
西村「だからね、競技場、体育館に行っても、おとなしめですよね」
銘苅「はい、おとなしいですね」
西村「でもサポーターはにぎやかにやってくれますけど。一般のお客さんたちは結構静かですよね」
銘苅「やっぱお気に入りのチームってないんですよね」
西村「地元のチーム応援するでしょうけど」
銘苅「地元っていっても、地元で試合があることはものすごい少ないので、だから、地元愛っていう感じじゃないと思うんですよね。やっぱり向こうはホーム&アウェーでやって、第3地域みたいなところでやらないので。リーグ戦の半分は絶対ホームでやってるので。それに行くのが、その週の楽しみ。生きる楽しみっていう人もいるし。そういうことを考えると、もうちょっとホームでゲームを増やしてほしいなと思います。だから、ホーム&アウェーにすればいいと思うんですよ」
西村「そうですね」
銘苅「日本も今、ふた回りしてるんですけど、ホーム&アウェーっていう名目で。地元と敵チームに乗り込んで。あと第3地域の3回くらい回せばいいんですよ。日本は広いから。絶対全国でハンドボールしている子はいるんだけど、それこそ、四国には行く機会ないし、中国地方にも行く機会ないし」
西村「関西も…」
銘苅「関西もないです」
西村「年に1回あるかないかですね」
銘苅「そうなると、第3地域でやってくれたらありがたいんです。でも、ホームとアウェーのこの地元の人間で、そこにハンドボール文化を根付かせるぐらいの意気込みでやらないと、いつまでたってもっていう気はしますね。いつまでたっても借りてきた猫、みたいな感じに。いっしょに応援してファンになって、っていう感じではないのかなっていう気はしますね」
いかがだったでしょうか。3回にわたってお送りした『銘苅淳×西村和彦特別対談』。
1月16日の本編もお楽しみに!
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そちらのご応募もお待ちしています。